NEW RELEASE

エアジョーダン1 OGブック

双葉社スーパームック
エアジョーダン1 OGブック
AIR JORDAN 1 OG BOOK

編集の途中でコンセプトを大きく変更した
ありそうに無かったAJ1の本

SFB(SNEAKER FAN BOOK)チームにとって約3年ぶりのAIR JORDAN 1だけの本となる『エアジョーダン1 OGブック(AIR JORDAN 1 OG BOOK)』は、“ありそうに無かったAJ1の本”をテーマに編集した1冊だ。

基本的なコンセプト自体は、かなり早い段階で確定した。AJがテーマの特集本と言えば、巻頭周りにオリジナルを並べ、世界観を補完するように復刻版を紹介するのが一般的で、実際にSFBチームでも、そうしたお約束に準じた編集方針を採用してきた。ただ都内のリアルなストリートシーンやSNSで、1985年当時のAJ1を履いたファッショニスタを見かける機会は殆ど無く、たまに出会ってもヴィンテージショップのスタッフだったり、SNS上で広く知られる有名人だったりする。

それは現代のスニーカーファンにとって身近なのは復刻版のAJ1であり、履いて楽しみ、コレクション対象になり得るのも復刻AJ1という、シンプルでリアルなムーブメントを示している。AJ1ファンにとって、1985年当時のオリジナルが憧れである点は揺るがない。それでも“次に手に入れたいAJ1”は、大抵の場合は復刻版で、そこにはオリジナル版の収集とは違った面白さがある。この新刊ではOGや85と呼ばれるスニーカーファンから高い評価を集める復刻AJ1を主役として紹介する。その方針が決まるまでは本当に早かった。

ただ実際にスタジオで撮影を進め、掲載候補の復刻AJ1をレイアウトしていくと、当初イメージしていた構成とは違った本に仕上がるとの空気が漂いはじめる。

OGや85だけを並べたレイアウトは確かに見栄えが良く、現代的なAJ1カタログとしては悪くない。ただ、それだけに特化するとWeb上で公開されているコンテンツと変わらないように思えて仕方が無かった。そうした構成も時代が求める“AJ1だけの本”かもしれない。ただSFBチームは“テーマの深掘り”を身上とする編集チームだ。

例えば“BRED”カラーに染まるAJ1 OG“BANNED”には、そのネタ元となったOG版以前にリリースされた復刻版のバックストーリーが受け継がれている。その元ネタを文章や画像だけで紹介する手もあるが、最低限の情報を盛り込みつつ、誌面に掲載した方が“デザインの相関図”が見えやすく、読者メリットに繋がる気がした。そうした世界観を誰にでも分かりやすく表現するのが、復刻AJ1だけの本が提案すべき楽しさではないか。

OGや85を主役として扱う当初の編集方針はそのままに、1994年以降の復刻AJ1にも向き合い、必要に応じて誌面に掲載する。文字で表現すると200文字程度に収まる編集方針の見直しではあるものの、それにより掲載足数は200足から250足に増え、スケジュールも修羅場となった。手前味噌になるが、苦労した甲斐もあり、現代的なスニーカーカルチャーの情報源としての価値は高まり、ページをめくり、画像を眺めるだけでもAJ1デザインの相関図が感じられる。文字通りの“ありそうで無かったAJ1の本”に仕上がったと自負している。

もちろんリアルなスニーカー好きが参加する書籍らしく、転売対象とならずにアウトレット行きとなった復刻AJ1に対しても“本来はこんなに素晴らしい1足なのだ!”と、スニーカー好きの立場でウンチクと熱い情熱を注ぐことも忘れていない。全てのAJ1は等しく最高のスニーカーだ。

『エアジョーダン1 OGブック』はこれからAJ1を手にしようと考えている層はもちろん、部屋には1度も履いていない復刻AJ1が何足も積み重なっているのに、新作がリリースされると気になってしまう。そうしたリアルなAJ1好きも手に取って欲しい1冊だ。

B5判フルカラー:144ページ

2024年9月17日発売

2,200円 (本体2,000円)

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EDITOR’S PROFILE

HIROSHI SATO

原宿エリアのアパレルショップスタッフ経験を経て、神奈川県平塚市にてセレクトショップ“HAND CARRY”をオープン。約6年にわたりオーナー兼バイヤーとして活動すると共に、『Boon』や『Street Jack』などに資料提供を続け、1990年代後半のスニーカーブームの一端を担った。その後ライター業やPRプランナーなどとして活動する中でもスニーカーに対する情熱は失われず、2014年に創刊した『SNEAKER FANBOOK』のディレクターを担当。翌2015年からはディレクター兼ライターに就任し現代に至る。履けなくなったスニーカーは捨てる派のため、所有するスニーカーの数は決して多くは無いものの、AIR JORDAN 1を中心に3桁のコレクション数を常にキープ。スニーカー系ライターの中では、最も多くのスニーカーを自腹で購入したひとりと自負している。興味の対象となるスニーカーは、誰もが知る人気モデルに対する興味は当然として、さほど注目されていないスニーカーから、お気に入りの1足を探し出す行為に執念を燃やすのが特徴だ。

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