ライツ事業局
クレヨンしんちゃん編集部
和田梨郁
経歴
2009年、双葉社入社。
第一営業部に配属。主に雑誌・ムックの取次営業の業務に携わる。
女性誌の編集部を経て、2015年よりライツ事業部配属。主に「クレヨンしんちゃん」の商品化や企業タイアップを担当する。
2023年よりクレヨンしんちゃん編集部配属。『新クレヨンしんちゃん』、映画クレヨンしんちゃんコミカライズ等を担当。『映画クレヨンしんちゃん』にもプロデューサーとして加わる。
――クレヨンしんちゃん編集部の仕事について教えてください
漫画『新クレヨンしんちゃん』と『映画クレヨンしんちゃん コミック版』の編集を担当しています。『新クレヨンしんちゃん』は月に2回、掲載媒体であるWEBサイト「まんがクレヨンしんちゃん.com」で連載しているので、ネームチェック、入稿、校正、校了までの流れをだいたい月に2回のペースで並行しながら行っています。今は、2025年夏公開の『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』のコミカライズも同時に動いています。
映画本編では、編集部として私もプロデューサーの立場で参加しています。次の映画のテーマを決めるプロット会議、脚本を練り上げていくシナリオ会議、声優陣のアフレコや宣伝方針等、ひとつひとつの工程に関わって、『クレヨンしんちゃん』として成立しているか、作品の設定や世界観と矛盾がないか、原作の立場からチェックしたり制作陣と意見を出し合ったりしています。イベント等が始まると土日出勤になることもあります。
また、企業が『しんちゃん』をキャンペーンや販売促進に使用する場合の監修も行っています。ありがたいことにたくさんの企業で起用していただいており、年間通して多くの案件に対応しています。CMやキャンペーンに起用するとなると、多くの方の目に届くものとなります。影響が大きいので、ひとつひとつの使用方法が作品の世界観や設定に抵触しないか、キャラクターイメージを棄損しないか、イラスト等の使用方法に間違いがないかを丁寧に、また素早く確認することが必要になります。
最後に、私たちのもうひとつの大切な仕事は、「クレヨンしんちゃん全体のブランディング管理」です。原作コミック、テレビアニメ、劇場版と、国内海外の商品化やキャラクター利用、スピンオフ作品等、展開は非常に多岐にわたるため、社外社内問わず多くの方が関わって作品を支えてくださっています。その中で、各展開が臼井儀人先生の作り上げた『クレヨンしんちゃん』としてふさわしいクオリティのものになっているか、イメージアップに寄与しているかの管理と、さらに作品全体としてどのように展開していくかといった方向付けを編集部が行っています。つまり、編集部は『クレヨンしんちゃん』ブランドの価値を維持・向上していく責任部署でもあるということです。
1990年に連載を開始してから2025年で35周年の節目を迎えますが、ここまで長く支持され続けている『クレヨンしんちゃん』は本当に稀有な作品だと思っています。『しんちゃん』を、これからもファンの方に愛し続けていただける作品であるように責任をもってマネジメントし、大切に展開をしていくことがクレヨンしんちゃん編集部の使命であると考えています。
――ご自身が主体で関わった企画について教えてください
先ほども申し上げましたが、2025年が原作連載開始してから35周年ということで、いままさに原作35周年の計画を進めているところです。まだお話しできないことも多いのですが、書籍・コミックス関連での展開や、周年記念の特別アートを使った商品を展開したり、より多くの方に『クレヨンしんちゃん』や『新クレヨンしんちゃん』の漫画に親しんでいただけるきっかけづくりになればと思っています。
原作35周年記念アートのテーマは『しんちゃんとシロ』なのですが、これは2024年公開の『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』がきっかけで思いついたアイデアです。『オラたちの恐竜日記』の中で、シロが河原で出会ったひとりぼっちの恐竜を野原家に連れて帰るのですが、自分がしんちゃんに拾われて野原家に受け入れてもらい、少しずつ仲良くなって家族になっていったことを思い出して、自分と恐竜の境遇を重ねるシーンがあります。多くの方が口コミ投稿サイトやSNSで、そのシーンが泣ける、と書いてくださっているのを拝見して、“しんちゃんとシロ”の物語は思った以上に多くの方に愛されているのだなと感じました。シロの目線からしんちゃんたち野原家の温かさを表現できるアートになれば、長きにわたって連載を見守ってくださった読者の方たちに喜んでいただけるのではないかと考えました。
そういった着想からラフを起こしていただき、特別に描き起こしたアートはとてもかわいく、心温まるものになっていると思います。ぜひ、今後店頭やコミックス・書籍等でご覧いただければと思います!
――クレヨンしんちゃん編集部の仕事で一番やりがいを感じたことや、大変だったことを教えてください
やりがいはとにかく、しんちゃんがかわいいことです! 漫画のしんちゃんも、アニメのしんちゃんも、映画のしんちゃんも、本当に全部かわいくて毎日元気が出ます。特に漫画のしんちゃんは、クールな顔でキレキレのギャグを連発したり、大好きなななこおねいさんには一生懸命カッコつけたり、じつは家族思いで友だち思いだったり、本当にいろいろな顔を見せてくれておもしろくてかっこいい子だなと感じます。
出来上がったネームをチェックするときに、本当は編集者としてはダメなのかもしれないですが毎回おもしろくて一読者として普通に笑ってしまいます(笑)。本当におもしろいので読んだことがない人には絶対に読んでほしい。元気が出ます。世界で最初に『しんちゃん』の漫画を読める自分は幸せだなと日々思いますね。
――女性も働きやすい会社ですか?
在職中に2回、産休・育休を取得し、現在は8歳と4歳の女の子を育てながら時短勤務中です。上の子の時も下の子の時もつわりがつらかったのですが、在宅勤務の制度があるのと通勤時間の調整もしやすく、満員電車を回避したりして無理なく仕事を続けることができました。いまも毎日定時より1時間早く帰宅し、時には子供が体調を崩して急遽お休みを頂くこともありますが、ありがたいことに当たり前のこととして受け入れてもらえる雰囲気があり、遠慮しなければいけないとか仕事がしづらいと感じたことは一度もありません。社内にたくさん、同じように育児時短中の人が多くいるので、相談もしやすい環境かと思います。
――双葉社のイメージを教えてください
みんな仲が良く、優しいです。一つ前の質問とも関連するのですが、誰かが急に休まなくてはいけなくなったり、病欠したりしても、自然に他のメンバーがフォローする雰囲気があると思います。そういった意味でチームワークもいいのではないでしょうか。
――学生時代の経験で、社会人生活において役に立っていることを教えてください
就職活動に苦労したことでしょうか…出版社しか受けていなかったので本当に狭き門で、なかなか結果に結びつかず、面接の後地元に帰る夜行バスの中で泣く日々でした。 心が折れそうでしたが、とにかく今年は納得できるまでやってみよう!(それでダメなら就職浪人だ!)と開き直り、それまでの面接のダメだった部分、考えが甘かった部分を地道に修正していき、それでなんとか最後に双葉社が門を開いてくれたのでした。 仕事をしていく上で、こりゃもうダメかもな、と感じることは多々ありますが、あきらめずに試行錯誤すれば、意外となんとか上手い形でまとまることもあるものです。月並みですが、もういいや!と簡単には放り出さない粘り強さのようなものは、その時に培われたものかと思います。
――未来の新入社員に一言アドバイスをください!
小説でも漫画でも雑誌でも何でもよいので、ぜひ作品に愛を持ってください。私達は紙やデジタル、商品や映像と、作品を色々な形にアウトプットしていくのが具体的な仕事ですが、作品を愛し、その価値を守るということが最重要任務だと感じています。『クレヨンしんちゃん』だけでなく、双葉社の作品は素晴らしいものばかりなので、始めは1冊2冊でもいいから、ぜひこの作品のために頑張りたい!と思えるものを見つけてください。そうするとどの部署に配属になっても、毎日やりがいを感じて仕事ができると思いますよ。
コミック、書籍、文庫、MOOK、週刊誌、webサイトなど、多様なジャンルで作品を作っています。
書店、取次への営業、製作、在庫管理、宣伝などがメイン。編集部とも連携しつつ「売る」仕事です。
映像化、グッズ開発、海外事業など作品をより広めるため、ライセンスに関わる仕事をしています。
電子版のコミックス・書籍・雑誌の編集、製作、販売、プロモーションを幅広く行っています。