社員インタビュー

第三営業部

島田拓弥

【経歴】
2018年4月、双葉社に入社。第二営業部 販売促進課(現在の第三営業部)に配属。書店営業として都内/首都圏・神奈川・北陸地区・中国地区担当を経て、2022年より関西地区2府4県を担当。
2023年現在、第三営業部 販売促進課所属。

――第三営業部の仕事について教えてください

 全国の書店さんへ、紙の本を営業することが主な仕事です。作家さんと編集が熱意を込めて創りあげた作品を多くの読者に届けるには、なるべく目立つ場所・展開方法で書店店頭に置いていただくことが一番の近道。そのためにはどうすればよいのか、他部署との連携はもちろん、書店員さんとの相談を通して、立地・客層・強みなどを把握、刊行される作品が最も光る形での展開を検討し、売り上げの最大化を図ります。

――ご自身の仕事について教えてください

 仕事の流れとしては、まず翌月以降の刊行作品の確認をして、各作品の強みを生かせる販売方法や地域を検討したうえで書店さんへ訪問し、相談や提案をします。実際に書店さんへ足を運んで書店員さんとの対話を通して得た情報は何ものにも代え難い財産になります。編集部に情報提供をして、時にはカバーイラストや帯などの装丁から一緒に創りあげていくなんてこともあります。また、店頭で展開されているポスターやPOPなどの拡材も私たち営業部員が作成しています。自分のお気に入りの作品の魅力をお話したときに、書店員さんが「読んでみたい!」「読者に届けたい」と言ってくださるのは大きなモチベーションにつながります。そう思ってもらえるように、日々「作品に詳しくなるためたくさん読むこと」「書店員さんに仲間になってもらえるような作戦や企画を提示すること」を念頭に置いて仕事をしています。

――書店さんとの付き合いにおいて、大切にしていることは?

 日本で刊行される新刊書籍は、平均して年に約70000点に上ります。膨大な本の海のなかで、双葉社の作品を目立つ形で置いてもらうのは、結構シビアなこと。そのため書店員さんに、その作品の情報をスピーディーかつ、正確にお伝えすることが基本です。そして最も大切なことは何と言っても「熱」を伝達すること。その作品の持っている力や魅力、作家さんの想い、編集の努力、宣伝部員の考案したプロモーション、日夜営業部員が向き合って絞り出した本の売り出し方、その全てをもって書店員さんとしっかりぶつかることができれば、きっと大きな力を生み出せると確信しています。

 書店さんにおける陳列方法は大きく分けて5つあります。
 本棚に1~2冊入る「棚差し」、表紙をみせて人の目線の高さに5冊程度置かれる「面陳列」、表紙を上にして平台で5~10冊展開される「平積み」、ひとつの作品が様々なコーナーで展開される「複数個所陳列」、ひとつの本の複数面を見せる「多面陳列」です。特に多面陳列は“仕掛け”とも呼ばれ、圧倒的に目を引く展開になります。営業はできれば大きく展開したい。本の冊数が多ければ売り上げにつながるとは限りませんが、それでも書店員さんが我々の想いに応えて大きく展開してくれた時は、やっぱりとても嬉しいものです。

――営業の仕事で一番やりがいを感じたことは?

 これまで話してきたことと地続きですが、その集大成として「本屋大賞」があります。「本屋大賞」とは「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本」を決める文学賞で、書店員さんの投票によって決まります。日々作品の魅力を書店員さんに伝える仕事をしている営業にとって、この賞のランキングはある種「成績表」みたいな意味合いももっているんですよね。そんな中で自分が営業として、本当に面白いし絶対に世の中に届けたいと思って、拡材づくりや販売方法の検討に取り組んだ『ムゲンのi』や『残月記』といった作品が、ちゃんと書店員さんの評価を受けて本屋大賞の候補作に入った時は、喜びもひとしおでした。個人で成しうることではなくチームプレイの賜物なので、ノミネートの連絡を受けたときは毎回みんなで嬉しさを爆発させて、お祭り騒ぎが起こります(笑)。その瞬間を何度でも味わいたいと思って、日々取り組んでいます。

――仕事をするうえで大変なことと、必要とされる能力は?

 大変ではありますが、本だけではなく世の中のあらゆるエンタメに興味をもち、それを仕事に活かすことだと思っています。コンテンツの内容はもちろんですが、思わず目を奪われる映画のポスターやテレビ番組の構成、再生回数が伸びているYouTubeの動画や企業主導のキャンペーンなど、すべてはあらゆる意味で人の心を動かすために行われている、作られているものなので、それを享受できる情報社会に生きているからには余すことなく何が起きているかを知って、大きな流れになるべく乗り遅れない意識だけはいつまでも持っていたいと感じています。

――学生時代の経験で、社会人生活において役立ったことはありますか?

 ラップをしていたことです。当時テレビ朝日やAbemaTVなどで放送されていた『フリースタイルダンジョン』というラップバトルの番組にドハマりしていた私は、「とくにHIPHOPPERな見た目でもない人間がいきなり人前でラップできたら、ウケるんじゃないか?」という気持ちひとつで一時期ラップを猛練習、友人の前で実践していました。双葉社の面接でも披露したところ、「島田はラップで受かった」という言葉が聞こえてくるくらい、記録よりも記憶に残るラップで面接官を魅了できました。
 冗談はさておき、ラップも出版社も同じく「言葉」を扱うもの。テキトーな言葉は響きません。言葉の力を信じて磨きをかけていくプロセスには近いものがあり、なんとなく今の仕事にも大きな影響を与えてくれているような気がします。

――未来の新入社員に一言

 仕事をするうえでは、楽しみながら商品を提供するということを意識してきました。「自分が楽しめなければ、人を笑顔にすることはできない」と考えているからです。
 双葉社では、自分の「好き」や「興味」を仕事にできる分、社員一人ひとりのコンテンツにかける思いがとても大きい印象です。ぜひ、「好き」を形にする達人たちと考えを共有し理解を深めることで、自分の見識を広め、面白くてためになるような作品をガンガン生み出していってもらえればと思います。

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