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中国における「クレヨンしんちゃん」の商標問題のその後

弊社が、中国で争っていました商標権に関する著作権侵害訴訟(民事訴訟)及び登録商標の無効審判にかかる審決取消訴訟(行政訴訟)において、最高人民法院の判断が下されたことで、事件の一部が終結いたしましたので、ご報告申し上げます。

《最高人民法院の裁定経緯》

 弊社は2004年8月に上海市第一中級人民法院へ、著作権侵害を理由として上海恩嘉経貿発展有限公司等(以下、恩嘉公司等という)を相手に、恩嘉公司等が所有している商標に関して著作権侵害を主張し、仮処分及びその本訴を提起しました。仮処分において、人民法院は著作権侵害の成立を認め、製造、販売の差し止めを認めたものの、本訴においては著作権と商標権の抵触について司法解釈が錯綜し、民事訴訟については一審、二審ともに不受理処分がなされましたが、その判断は間違っているということで、最高人民法院に再審を請求していました。最高人民法院は、2008年11月6日に上海市高級人民法院へ審理を差し戻す最終判断を下し、弊社の主張を認めました。恩嘉公司等が登録している商標は著作権を侵害しているという理由で起こしているのだから、人民法院は訴訟を受理すべきであるという弊社の主張を認めたのです。この案件は、現在は上海において再審を開始しています。
 一方で、著作権侵害訴訟の被告であり商標権者でもある恩嘉公司等に対し、国家工商行政管理総局商標評審委員会に当該商標登録の取消しを求める無効審判を請求し、その上訴審が北京の人民法院に係属していました。無効審判の争点は、9件の登録商標に対する無効審判請求が5年の除斥期間を過ぎて請求されたものか否かが最大の争点となりました。商標評審委員会及び北京市第一中級人民法院は弊社の主張を認めず、弊社の無効審判請求が、9件の商標の登録日から5年が過ぎていることを理由として、恩嘉公司等が所有する商標の登録を維持しました。北京市高級人民法院では、5年の除斥期間の起算日は、規定が設けられた現在の商標法施行日(2001年12月1日)とすべき、との弊社の主張を全面的に認め、また恩嘉公司等が行った商標の登録行為に関しての悪意性を認めたものの、原審を覆すことはできず、最高人民法院に再審を請求しておりました。最高人民法院は、2008年12月9日付けで最終的に弊社の主張を退け、当該行政訴訟の終局判断を下しました。つまり、弊社の訴えを却下したのです。

《下に示した商標を、恩嘉公司等が5カテゴリーで登録しているのです。これをめぐって最高人民法院で争ったのです。絵の部分は、単行本「クレヨンしんちゃん」8巻の91ページから盗用したのは明らかで、著作権を侵害していると弊社は主張をしています。文字部分の「蠟筆小新」は「クレヨンしんちゃん」の繁体字版の中国語訳です。台湾・香港の出版社が、弊社と正式に契約をして、台湾・香港で単行本を出版する時に弊社と合意のもとにつけたタイトルです。》


《今後の裁判問題》

残念ながら、行政訴訟では負けてしまい、第三者が所有している商標は無効とならなかったのですが、民事訴訟については、ようやく司法において審理の場が与えられました。この結果が商標権の今後の存否に大きな影響を与えるものであると考えています。弊社が特に係争にこだわるのは、著作権を侵害している図形商標(係争商標を参照してください)が著作者となんら関係のない他人の所有権として認められていることです。こちらは何としても取り消したいと思っています。このことにつきましては、また後日ご報告をさせていただきます。

中国商標問題では、クレヨンしんちゃんファンならずとも、関係各社の皆様には多大なるご心配をおかけしております。弊社は著作権者の権利を守るべく、最後まで全力で当該の著作権侵害訴訟に取り組むつもりです。引き続き、ご理解、ご支援をよろしくお願いいたします。

《最高人民法院は2009年4月23日付けで、2008年の知的財産権年度報告で弊社の事件を次のように発表しております》
※日本語訳は弊社。
・ 著作権侵害訴訟
株式会社双葉社と上海恩嘉経貿発展有限公司、広州市誠益眼鏡有限公司、響水県世福経済発展有限公司との著作権紛争の再審請求において、最高人民法院は(2007)民三監字第14-1号による民事裁定を下した。双葉社は請求において、被請求人である誠益公司、世福公司が登録し又は所有する商標において双葉社の所有する著作権である「蝋筆小新(“クレヨンしんちゃん”の中国語翻訳)」にかかる美術作品を不法に使用しただけでなく、恩嘉公司が許諾を経ずに商品を販売、宣伝時にかかる美術作品を使用したことを主張した。双葉社が上述の商品の販売、宣伝等の実際の使用行為をもって、訴訟を提起したことは、民事上の権利紛争に該当し、民事訴訟第108条の規定によるものと判断されるものであり、人民法院はこれを受理しなければならない。
・ 他人の商標権にかかる審決取消訴訟
株式会社双葉社と国家工商行政管理総局商標評審委員会、上海恩嘉経貿発展有限公司との商標行政紛争にかかる再審請求案件について、最高人民法院は(2007)民三監字第25-1、26-1、28-1、29-1、30-1、31-1、32-1、33-1号にて再審棄却を通知した。商標法第31条等の規定により、係争商標の登録が先の著作権等により当該登録の無効を請求するときは、当該登録商標の登録日から5年以内に請求しなければならない。商標法の規定する5年の除斥期限を2001年12月1日の商標法施行日より起算すべきとの認定は法律根拠を有さない、と判断した。