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小池一夫先生が2019年4月17日に肺炎のため逝去されました。モンキー・パンチ先生の逝去へのツイートをされた直後の報でした。『子連れ狼』『ケイの凄春』『乾いて候』(画: 小島剛夕)、『高校生無頼控』『ぶれいボーイ』『カニバケツ』(画: 芳谷圭児)、など数々の名作を「週刊漫画アクション」残していただきました。心より感謝するとともにご冥福をお祈りいたします。

株式会社 双葉社

小池一夫先生訃報に際し

モンキー先生が亡くなられたことの整理もつかない4月18日(木)に小池一夫先生が亡くなられたとの報を受けました。ただただ驚くばかりです。現在「漫画アクション」で連載されている『ルーザーズ』に描かれているように、モンキー先生とともに、疑いようもなく「漫画アクション」の礎、いや、青年漫画の礎を築いていただいた方でした。

1985年入社の私にとって、小池先生との想い出は個人的にはあまり多くはありません。直接的ではありませんがいくつかのエピソードがあります。
ひとつは、私の本格的な担当漫画家としてのスタートは相原コージ先生でした。その相原コージ先生が弊社新人賞に入選された際に、小池先生からの作品評が酷評で、「キャラクターが弱い、弱すぎる」という評でした。相原先生の受賞作は自身の体験を基に描かれた漫画で、「キャラクターが弱いって言われても本人なんだからどうしようもないじゃん。」「だよねえ」的な話をしておりました。でも、今では当たり前ですが、そういうことを言ってるんではなく、漫画としてのキャラクターと言うものはどういうことか?ということを言ってるわけで、新人の漫画家と編集者に漫画のキャラクターというものをもっともっと掘り下げるきっかけを頂きました。
もうひとつのエピソードは「ン」です。これも有名な話ですが、先生の原作では話し言葉においてはひらがなの「ん」ではなく「ン」を使います。当時、校了のときに先輩編集者から教えられ、わけが分からなく赤字を入れていたことを思い出します。言葉のつなぎや分かりやすさ、キャラクターの思いや強さを出す技法としての「ン」と教えてもらいましたが、今でも正直この「ン」に関しては個人的にはモヤモヤしているままです。「ん」より「ン」の方が強いことは分かりますが、その感情を全てのキャラクターが「ン」を使うことが正しいのかどうか未だ研究中です。もう一度先生の「キャラクター原論」を研究しようと思います。

少し脱線しましたが、間違いなく小池一夫先生は、日本の漫画の幅を広げた偉大な原作者です。日本において漫画という文化がこれまで広がり浸透していった最大の要因は、漫画の多様性です。子供の漫画から青年漫画を造り大人までを巻き込んでいった多様性。専門的な雑誌も作られていく多様性。そして何より作品の多様性。先に触れた『ルーザーズ』で清水文人が語っているように、同じ雑誌の中で、矛盾するテーマの作品を掲載するのは、それが「人間」だから、多様性を持った「人間」だから。それが漫画です。その「人間」=「キャラクター」を作ることの第一人者が小池一夫先生であったと思います。漫画に携る者として、一編集者として感謝しかありません。先生の話をもっともっとお聞かせいただきたかった。本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。

株式会社双葉社 取締役編集局長 島野浩二