四六判上製 304ページ
予価 本体1600円+税
ISBN978-4-575-24174-7

1981年京都府生まれ。2014年『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。同作は、数々のミステリランキングで高評価を受ける。15年「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞(短編部門)の候補に、また16年『生還者』が第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)の候補になる。様々な社会問題を骨太なエンタテインメントとして昇華させる筆力から、いま最も注目を集める若手作家である。近作に『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『黙過』『悲願花』など。

 この作品の主役・田丸は、通訳捜査官が主人公の『叛徒』(講談社)で、主人公を追い詰めるくせ者刑事として初登場しました。田丸は捜査会議で間違った推理ばかり開陳するので、署内では「彼の意見に耳を貸したら事件が未解決になってしまう(いわゆる『お宮入り』)」という皮肉を込めて、〝オミヤ〟と揶揄されています。
 事件解決のためならピエロになることも厭わない田丸は、主人公よりも人気がありました。『叛徒』では、主役級の登場人物を惜しげもなく共演させよう、という想いを持っていたため、僕の中ではオミヤも主役を張れる渾身のキャラクターでした。
 オミヤが主役の物語を熱望する読者さんの声も多く、いつか彼を主役にして本格的な警察小説を書きたいと思っていました。それがこうして叶いました。

 『刑事の慟哭』では、田丸がまだオミヤと呼ばれる前の物語を描いています。なぜ彼が警察組織でオミヤとして扱われるようになったのか。
 田丸は周りに踏みつけられ、見下され、決してヒーローになれなくても、ただひたすら事件の真相を追います。
 苦境に負けない田丸刑事の活躍を、読者の皆さんに楽しんでもらえたら幸いです。

優秀ゆえに日陰者を演じる刑事の悲哀と魅力。
司法の盲点を突く社会派エンタメの鋭さ。
そして“慟哭”の先に待ち受ける熱い涙の結末。
下村敦史の警察小説は、面白さの格が違う!
――宇田川拓也(ときわ書房本店)

『闇に香る嘘』で衝撃的なデビュー、その後も『生還者』『真実の檻』『サハラの薔薇』『黙過』などミステリーの話題作を連発されている下村敦史さんですが、意外なことに刑事を主人公にした警察小説は初めてです。逆風に見舞われながら信念を持って真実を追求する田丸刑事に惹かれますが、彼の相棒である神無木刑事も実に印象的です。過去の事件で負い目があることから、田丸のために尽くそうとする神無木。ところが田丸には応えられない事情があり――田丸と神無木、唯一無二のバディがどういう結末を迎えるのかも読みどころです。ぜひお楽しみください!