1992年神奈川県生まれ。東京大学卒。2015年、第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞した『いなくなった私へ』でデビュー。繊細な心理描写と精密なミステリーで注目される期待の新鋭。近著に『僕と彼女の左手』『片想い探偵 追掛日菜子』『今、死ぬ夢を見ましたか』『お騒がせロボット営業部!』『君の想い出をください、と天使は言った』、共著に『昨夜は殺れたかも』がある。

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 学校生活という日常が、一変する。誰もが通ったことのある学校という場所を舞台に、ごく普通の生徒が、とんでもない事件に巻き込まれていくミステリーを書きたい。そんなところから、『卒業タイムリミット』の構想はスタートしました。
 小説家としてデビューした五年前、私はまだ学生でした。ですが、学園ものに挑戦したのは今回が初めてです。あの頃は、学校生活を身近に感じすぎていたからこそ、フィクションの形に昇華することができなかったように思います。それから時間が経ち、かつ当時の閉塞感や何気ない青春を忘れきってはいない今だからこそ、この物語に真剣に向き合うことができました。
 主人公の黒川くんは、不登校気味の元不良です。誰にも心を開くことがないまま三日後に卒業を控えたタイミングで、突然誘拐事件の犯人から挑戦状を送りつけられ、仲間と協力して事件の謎を解く羽目に陥ります。彼が三日間でどのような心境の変化を迎え、卒業していくのか。ミステリーはもちろん、青春小説としてもお楽しみいただけたら幸いです。

「卒業」というパンドラの箱に入っていたのは、希望か不安か?
伏線にちりばめられたミスリードはお見事。
明かされた真実には爽快感さえ漂う。
力業と流麗さのバランスが巧みなミステリー!

河野邦広さん(明林堂書店南宮崎店)

大学在学中に『このミス』大賞の優秀賞を受賞して颯爽とデビューし、その後活躍の幅を広げられている辻堂ゆめさん。作品の魅力は、登場人物一人ひとりに寄り添う優しさと、謎が解き明かされた後に待つ切なさにあります。意外なことに初めて学校が舞台となった『卒業タイムリミット』は、そんな辻堂さんの魅力を堪能できる一作。72時間後には女性教師が死んでしまうという極限状況で、高校生たちが事件解決に挑む様子はスリリングです。絆を深めた彼らが結末で下した決断には爽やかさを抱かれることでしょう。文句なしの青春ミステリーの傑作、ぜひお読みください!