掬水樓
いろ好み夜伽ばなし

如月あづさ

  既刊をご案内します
   

 吉原遊郭で美しく気丈な花魁として生きた千鶴の姿を描いた明治官能ロマン『千鶴』(双葉文庫刊)で鮮烈なデビューをはたした如月あづさが、f3官能文庫に颯爽と登場! 時は明治21年。江戸から明治へと移り変わってゆく激動の時代。色里にも新しい風が吹こうとしていた。東京は深川の新地・洲崎は、根津にあった遊郭の移転に伴い誕生した新しい歓楽街。その色街に新装開店した廓『掬水樓』を舞台に、遣り手婆のおわかの目を通し、遊女たちの淫靡で艶かしい姿を写し出す。見世で女を競う遊女のつばぜり合い、男に見られることに悦びを見いだす遊女云々。さらに、廓に出入りする客や女中、遣り手婆の人情模様を、儚くも美しく紡ぎ出していく。
 どこまでも静謐で美しい女性の佇まいや、情緒あふれる男と女の色恋模様をご堪能ください。(毎週木曜更新)