MASTER PIECE SNEAKERS

双葉社スーパームック
MASTER PIECE SNEAKERS
マスターピース・スニーカーズ

スニーカーの世界ではヴィンテージモデルに近いニュアンスで使われる事が多い"マスターピース"というキーワード。このキーワードの本来の意味である"名作"を意識して、ナイキ以外のメーカーを含む"現代のマスターピース"を揃えたスニーカーの教科書として構成した1冊。『マスターピース・スニーカーズ』に込めたテーマは、誰かに褒められるスニーカーよりも、自分が本当に履くべきスニーカーとの出会い。誰でも知っている名作でありながら、instagram等では注目されにくい本当の"マスターピース"を再評価する事が、誰かの真似ではない、自分らしいスニーカーライフを手に入れる近道となる。

B5判フルカラー:144ページ

2017年12月14日発売

本体1,900円 + 税

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COLUMN

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名作スニーカーはナイキだけじゃない

Instagramを中心に盛り上がるスニーカーの話題で、常に中心にあるのがエアジョーダン1やエアマックスに代表されるナイキの限定モデルだ。時にはナイキの限定モデルを買うのが正解で、それ以外のスニーカーは不正解とでも言いたげな空気がInstagramで醸し出されている。確かに多くの“いいね!”やコメントが集まるホットモデルを追いかけ、SNSでコミュニケーションを楽しむのもスニーカーの醍醐味だ。ただ、多くのスニーカーファンはナイキの限定モデルだけでなく、時代や世代を問わず根強い人気に支えられる名作スニーカーを知っている。そうした讃えるべき名作を“不正解”とする風潮に対しては、はっきりと“NO”の意思表示するファンも少なくない。彼らが讃える名作スニーカーは“傑作”を意味するキーワードを用いて“マスターピース”と呼ばれている。ナイキはもちろん、アディダスやニューバランス、そして日本が誇るアシックスまで様々なスポーツブランドに“マスターピース”が存在し、それぞれが特別な魅力に溢れたプロダクトと言える。さらに付け加えれば、“スニーカー好き”を公言するのであれば知っておいて欲しいモデルだ。繰り返しになるが、素晴らしいスニーカーはエアジョーダン1やエアマックス以外にもいくらでも存在しているのだ。Instagramで盛り上がっているスニーカーヘッズにこそ、他の名作モデルを知って欲しい。2017年12月に発売された『マスターピース・スニーカーズ』は、そんなお節介な気持ちから企画がスタートした、128モデル240足のスニーカーを紹介するコレクターズムックだ。

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改めて解釈した“マスターピース”の定義

『マスターピース・スニーカーズ』の企画を進める上で、決めなくてはならない方針があった。それは2017年時点において、何を以って“マスターピース”と讃えるべきかについてだ。スニーカーの世界ではこれまでも“マスターピース”という言い回しが使われてきた。それは多くのケースで2000年以前に発売されたビンテージスニーカーを示すキーワードとして用いられ、エアジョーダン1やスーパースター、そしてオールスターなど、誰でも知っているスニーカーたちに与えられる言葉だった。確かに、それらのスニーカーが傑作である事実は疑いようがない。タイトルに“マスターピース”と付けたコレクターズムックであれば、ビンテージスニーカーの名作を掲載した方が特定の層に受け入れられるだろう。ただ、それは2017年の“マスターピース”に相応しいコンテンツなのだろうか。前記の通り、本来的に“マスターピース”が意味するのは“伝統”でも“定番”でも無く、“傑作”である。2017年に誕生した“傑作スニーカー”はビンテージスニーカーだけではない事実は誰でも知っている。ヴァージル・アブローが手掛けた“THE:10”や自動でシューレースを巻き上げるハイパーアダプトは2017年を象徴する傑作であり、ニューバランスの定番モデル“574”に新たな可能性を示した“MS574”も、2017年のスニーカーシーンを語る上で欠かせない存在だ。スニーカーのマスターピースは時代に合わせアップデートされると解釈すべきである。こうした経緯を経て、何年か後に改めて『マスターピース・スニーカーズ』を手にした時、2017年の空気が感じられるモデルを紹介する編集コンセプトを固めたのだ。

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難航した掲載モデル選び

“2017年らしいスニーカーを紹介しよう”。その編集コンセプトは文字にすると簡単なのだが、実際に掲載モデルの選定に入ると想像以上に大変な作業が待っていた。今のコレクターズムックのフォーマットでは、それぞれが“薄い情報”にならない掲載スペースを確保すると240足の掲載が限界で、1ページに異なるモデルを掲載すると読みにくくなるため、120種類に納めるのがベターだ。シンプルに言えば、120種類の“2017年版のマスターピース”を選べば良いのである。ただ、その120種類を選ぶのが本当に難しい。掲載モデルが偏ったセレクトにならないようInstagramを活用して情報収集に努めたが、エアジョーダン1やエアマックス95と言った大定番モデルは別として、10人に聞けば10通りの“マスターピース候補”の名前が挙がってくる。筆者が特に気にしていなかったモデルでも、選出者の熱い思い入れを聞いていると「なるほど」と感心してしまう。ありとあらゆる候補モデルの名が挙がる中で、120種類を選ぶのは本当に難しかったが、断腸の思いで掲載を見送る作業を繰り返し、最終的には予定数を8足オーバーする128種類を紹介している。

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今より少しだけスニーカーに詳しくなる1冊

苦労した甲斐があって、完成した『マスターピース・スニーカーズ』は、ナイキやアディダスだけでなく、ディアドラやエトニックまで、幅広いスポーツブランドの名作を掲載する事ができた。“1冊丸ごと〇〇の本”と言うコンセプトが多い我々のスニーカームックとしてはレアな企画とも言える。世の中にはスニーカーをテーマにした書籍は少なくないが、ここまで多彩なブランドのスニーカーを平等な掲載スペース(1足あたり)で紹介した例は無い、もしくはレアケースなのだろう。ただ、各モデルに記載した細かい解説を記憶するかは別として、どのブランドがどのようなスニーカーを発売しているかを知るだけでも楽しい構成になったと思う。各ブランドの自信作を見て、“このスニーカーも履いてみたい”と新たな興味を持って頂ければ嬉しいが、もちろん“やっぱりナイキが好きだ”と再認識するのも正解だ。2017年におけるスニーカーシーンの温度感を反映した『マスターピース・スニーカーズ』は、ページをめくっているだけで、いつの間にか“少しだけスニーカーに詳しくなっている”1冊だ。

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